量的緩和政策の出口戦略
日銀が大規模に行なっているマイナス金利つき質的量的金融緩和政策。これはいずれバブルをもたらすだろう。
すでに量的緩和バブルになっているとの見方もあるくらいだ。
よく撤退のほうが難しいと言われる。
そもそも、日銀は市中にある大量の国債を買い入れることからスタートした。これもバズーカ砲を打つたびに増額され、金利は抑圧的になったものの、そろそろ2年程度で市場で出回っている国債は尽きる可能性がある。もっともすべてがなくなるわけではないが、担保付き取引である程度の国債を保有しなければならないからだ。
これらは買い入れによって、下落は最小限に抑えることができ、結果として価格が上昇し大きな効果があったといえる。ただ、これを撤退するにはマーケットインパクトがありすぎるし、なにより個別銘柄の保有割合が極めて高いものも存在する。
当然、株主であれば合併や役員の選出といった議決権行使をする必要があるが、信託銀行に一任している。もし合併があればどう対応するのであろうか。
明確な政策目標を掲げてほしいものである。
わが国の年金制度の変遷とその原理
わが国の年金制度の変遷とその原理
がわかりやすく書いてある論文を見つけた。
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/06j012.pdf
RIETI モデルの詳細は不明なるも有効性のある文献だと思う。ご紹介まで。
デフレと人々の物価期待も低迷
大本営発表の物価動向は上昇基調にあるようだが、確実に物価は低迷している。
その原因は、低迷の原因は原油価格だそうだが、期待成長率の低迷からくる賃金の実質的低下にあると思う。
年金受給者にとってもデフレは生活しやすい。いくらマクロ経済スライドが発動されたとはいえ、デフレ下では発動が見送られるためだ。
そして、人々もデフレを期待している。なぜならスタグフレーションの恐れが高まっているためだ。そのため、いくらインフレ圧力を高めたところで、物価が上昇するだけで、昨今のフリーライターの年収が1文字1円以下などとコピペしか生き残る可能性しかないことを見れば明らかなように。
今後、年金はさらなる抑制が続くという。しかし、現役世代の年収が低迷しているなか、保険料収入は増えない。その結果、さらなるマクロ経済スライドに加え、賃金の引き下げに応じた実質的な目減りを起こすしかない 。
法案に盛り込まれた新ルールでは、これまで賃金が下がっても物価が上がれば年金が据え置かれていたシステムを変え、新たに賃金の下げ幅に連動して支給額も下げる。
ETFのNAVと実勢価格との乖離
ETFについて興味深い論文がある。
http://61.202.238.171/frtc/nenpou/2008/02-1.pdf
前場開始直後の時間帯において、ETF 市 場に特有の現象も観察された。具体的には、この時間帯に、大口の売り注文や成行注文が増加するほか、市 場価格と純資産価値(NAV)の乖離が大きくなる傾向がある。第二に、過半数の ETF について、流動性が低 いために裁定取引が機能していない可能性が見出された。第三に、大口注文と小口注文の注文戦略が異なっ ていることが確認された。小口注文は乖離に対する反応度合いが弱いが、大口注文は乖離に敏感に反応し、 乖離に伴う裁定利益を獲得するために利用されている。この背景には、大口注文を利用する投資家と小口注 文を利用する投資家の間に、情報の非対称性があると考えられる。
長い引用になって恐縮ですが、これもまた情報の非対称性があるのではないかといった指摘である。金融庁の方が書いておられるので、意義はあると思う、個人的に。
そもそもETFは日本において流動性が低い。これが一番の問題だと思う。もちろん配当込や配当除くなどが混在していることも要因であるが、運用会社各社が同じ指数で次々と発売した結果ではないかと思う。
もちろん信託報酬がそれぞれ違い、ETFの価格の押し下げ要因になっているほか、レバレッジの効いたETFが存在し、乖離があっても売買が活発なので一概には言えないのだが。
NAVはナブと読み、運用会社が発表する基準価額のことで、必ずしも市場価格とは一致しない。念のため。
旧法信託と新法信託
ネット証券で投資信託を買うときに交付目論見書を電磁的交付(もちろん紙でもいい)しなければならない、とされる。実際、clickするだけなのですが、ちゃんと読んで欲しい箇所がいくつもあります。(もらえるなら、請求目論見書ももらいましょう)
この信託は、信託財産に属する財産についての対抗要件に関する事項を除き、信託法(大正11 年法律第62号)の適用を受けます。
と約款に記載があれば旧法信託です。
つまり、運用会社によるファンドの解散(繰上償還ともいう)が比較的簡単に行えます。これは投資家の利益に資することもあるのですが、外資系はやたら儲からないと簡単に償還してしまいます。
一方で、新法信託になれば、書面決議という面倒な手続きになります。ので、償還は満期償還以外はしたくないです。