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経済学者を目指す大学院と証券アナリストのわらじをはくひと

ETFのNAVと実勢価格との乖離

ETFについて興味深い論文がある。

http://61.202.238.171/frtc/nenpou/2008/02-1.pdf

前場開始直後の時間帯において、ETF 市 場に特有の現象も観察された。具体的には、この時間帯に、大口の売り注文や成行注文が増加するほか、市 場価格と純資産価値(NAV)の乖離が大きくなる傾向がある。第二に、過半数の ETF について、流動性が低 いために裁定取引が機能していない可能性が見出された。第三に、大口注文と小口注文の注文戦略が異なっ ていることが確認された。小口注文は乖離に対する反応度合いが弱いが、大口注文は乖離に敏感に反応し、 乖離に伴う裁定利益を獲得するために利用されている。この背景には、大口注文を利用する投資家と小口注 文を利用する投資家の間に、情報の非対称性があると考えられる。 

 長い引用になって恐縮ですが、これもまた情報の非対称性があるのではないかといった指摘である。金融庁の方が書いておられるので、意義はあると思う、個人的に。

そもそもETFは日本において流動性が低い。これが一番の問題だと思う。もちろん配当込や配当除くなどが混在していることも要因であるが、運用会社各社が同じ指数で次々と発売した結果ではないかと思う。

もちろん信託報酬がそれぞれ違い、ETFの価格の押し下げ要因になっているほか、レバレッジの効いたETFが存在し、乖離があっても売買が活発なので一概には言えないのだが。

NAVはナブと読み、運用会社が発表する基準価額のことで、必ずしも市場価格とは一致しない。念のため。