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経済学者を目指す大学院と証券アナリストのわらじをはくひと

配当が1.25倍ももらえる! 伊藤園の優先株式

伊藤園は一昔前(2007年)から日本で優先株式を上場企業としては初めて上場させた企業です。ただ、発行したときに、株価が急落したため、第2弾の予定だったソフトバンクは、優先株式の発行を諦めた経緯があります。

なお、伊藤園については、近年、おーいお茶でしられるブランドをもっていますが、綾鷹や伊右衛門、特茶など様々なお茶にやられています。個人的にもほかのお茶のほうがおいしいですね。ただ、おーいお茶についてる俳句を読みたくて買うことはありますが。

 

ちょっと話はそれましたが、優先株式とはなにか。負債とは違い、永久に返済しないでよい株式で、会社清算時に(つまり多くは破たん時に)、残余財産の請求権(伊藤園の場合、未払いの累積配当に限る。)を普通株式に優先するものです。議決権については、行使できない定めをすることができるため、伊藤園優先株式もまた、議決権はありません。

 

また金融商品取引法に定めによると、種類株式に該当し、適時開示の対象になっています。

種類株式等の提出書類一覧表

http://www.jpx.co.jp/rules-participants/rules/doc/preferred/tvdivq000000tpze-att/syuruikabu_ichiran20110331.pdf

優先株式を発行すれば、こんなに書類をつくり、EDINETに提出しなければならず、とても煩雑なものです。

 

ところで、肝心の伊藤園の第一種優先株式はどのような仕組みになっているのでしょうか。

www.itoen.co.jp

同じ条件なことは、株主優待ですね。

違うところは先ほど触れた残余財産請求権、株主総会での議決権行使の有無、優先株式のほうの配当が1.25倍、「一定の事象」以外では普通株式の転換権がない、割安な株価といったところでしょうか。

【一定の事象】
1. 当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換、株式移転(当社単独によるものを除きます)。
2. 当社普通株式に対する公開買付により公開買付者の株券等所有割合が50%超となった場合。
3. 当社優先株式上場廃止となった場合。

 

議決権行使ができないうえに、普通株式への転換権ということは、50%以下のM&Aなどで、TOBをかけられた場合、買収の対象にならず、株価が上昇しない可能性があります。

また、普通株の配当の1.25倍は魅力ですが、業績不振の際は、留保できます。

 

それにしても、なぜ伊藤園優先株式の株価は低迷しているのでしょうか。

一つは流動性仮説です。売買があまり成立しないため、売りたいときに思う価格で売却できない恐れがあります。

また、インデックス指数の対象となっていないという仮説です。TOPIXなどの算出から引き離されているため、インデックスファンドの買いが期待できないことです。

それらの理由のためディスカウントされていると思われます。

 

stocks.finance.yahoo.co.jp

 

それにしても優先株式の株価は安値ですし、あまり値上がりもしません。議決権がないだけで(株主総会なんて議案が否決されるなんてめったにないですしね)、株価に関係していると説明するには無理があり、流動性やインデックスファンドの影響がありそうです。