think big start small

経済学者を目指す大学院と証券アナリストのわらじをはくひと

eMAXIS最適化バランスシリーズ

あまり投信の個別銘柄についてコメントはしたくないが、リスクという目標を出して運用する珍しい投信があったのでメモをしておく。

 

money-knowhow.com

 

素朴に思う疑問は、なぜセクターごとの投資対象が違うのに信託報酬が同じなのか。そこはつっかえるが、バランス型の投信としてはユニークである。

 

リスクとは、収益のブレの大きさを指し、一般にリターンと比例する関係にある。

そこで、さまざまなアセットクラスの商品に分散することで収益を狙いたいのだろう。

あまり売れない気がするが、画期的でいい商品だと思う。

マーケティングと選挙

こんな報道があった。

digital.asahi.com

 

投票率のなか、一定の投票数を確保するにはと考えたかどうかはわからないが、ワンイシューを掲げることはわかりやすい。

NHKの受信料の意義は個人的にはもう廃止すべき事案であるとは思うが、放送法の規制がある。ならば、国会議員に出馬すべきである。

もちろん、若者の多くである低所得者にとって、受信料の負担は重い。そこで、このような廃止の主張をして選挙に当選するのは良い手段だ。

この記事にあるように、いかに市の当局から踏み込んだ発言を引き出せるか。なにもできなかったら、次の選挙の結果は目に見えている。ある意味、期待したい。

投資信託の論文

情報の非対称性を示した論文がある。

 

実証ファイナンスの視点からみた 投資信託市場を巡る論点整理

http://www.fsa.go.jp/frtc/kenkyu/20090722/11.pdf

販売会社が取り扱いファンドを 選定する際に、投資家利益を省みず、自らの利益を優先させている可能性に注視すべきである。 

 これは絶対にあると確信をもって言える。

売りやすい商品を売るというやり方である。毎月分配です、どこどこで運用してます、プロが銘柄を選定してます、日本で一番売れているものですなどなど

 

金融商品を作るにあたって考えることは、売りやすさである。

ニーズとか投資家の利益などは考慮にいれてもしれている。

信託報酬を高く設定すれば喜んで売ってもらうこともできる。信託報酬のうち半分以上が販売会社に流れる構造をなくすべきだと考える。

サブプライムローン問題

リーマンショックの引き金になった、サブプライムローン問題。

わかりやすく日銀が紹介していたので、ご紹介。

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr08b.pdf

米国サブプライム住宅ローン問題をきっかけに、景気変動等によって金融機関行動が変化 し、これがさらに景気変動を増幅させるメカニズム――いわゆる金融システムにおけるプロ シクリカリティ――が注目されている。このメカニズムについては、①銀行の自己資本比率 の変動、②銀行の与信行動の変化、③実体経済活動の振幅の増減という 3 つの段階に分けて 考える必要がある。 

 とある。プロシクリカリティとは景気循環増幅効果とも訳されるが、根本的な問題は銀行の短視眼的な経営姿勢と資本リスクを甘く見積もっていることにあると思う。

 

その結果、実体経済においても、銀行の影響を受けやすい中小企業を中心に悪い影響を与えているのだろう。

資格をとって思うこと

どうでもいい資格はいくつか持っているが、証券アナリストは一番お金のかかった資格である。

資格取得にかかる費用を考えると、運用に携わってもそんなに意味のある資格と思わなかった。

 

ちなみに、証券アナリストを持っていないファンドマネージャーもまあまあいる。いまさら落ちたら笑い者になるだけで、取らないのかもしれない。

 

ただ、いいことを言っておくと、論文が毎月送って頂きうれしい。

査読の程度は怪しげなところもあるが、論文がちゃんと載っています。毎月テーマについて学者だけでなく民間人も書いている。

より上位のプライベートバンカーくらいまでは資格としてはほしいですが、就職事情は院卒というだけで不利である。資格もってたら余計に扱いにくい。履歴書に敢えて書かないという強者もいたらしい。まあ資格はあっても得することもないが、一種の能力の証明書というだけである。

不動産価格の情報の非対称性

新築物件でも怪しいのに、中古物件の価格は非常に怪しいものがある。土地なら、抵当権設定などがなければ、それなりに推定できるが、建物の価値は著しく低下していくものであるし、計算が難しい。

売り手と買い手の情報の非対称性がこれほど大きいことはすごい。

REITの物件にまともなものがないと一時騒がれたが、まさに、丸の内の物件が上場することはありえず、ショッピングモールも閉鎖されるかもといういわくつきの建物も散見される。

 

REITも日銀の質的量的緩和の影響で、過大に買われていて、単に配当や取引価格だけで説明がつかない。おまけに一部の銘柄のみに集中して買われていて、小さなファンドは今後淘汰ないし合併をせざるを得ないだろう。

 

ともかく、不動産価格はわかりずらい。そして、周囲の条件、駅、利便性などの影響、外部の経済性を受けやすい。

そこで調べていたら、公園が住宅価格に及ぼす影響を調べた研究論文があったので、載せておく。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jila/71/5/71_5_727/_pdf

リボ払いの恐怖

リボ払いというクレジットカードの返済方法がある。

残高スライド方式と定額方式があり、どちらも高額の利子がかかることで有名だ。

支払い方式が違うと、毎月の返済額が増えるか、返済回数が増えるかの違いである。

参照

リボ払いの特徴と利用上の注意 | クレジットの利用 | 消費者のみなさまへ | 一般社団法人日本クレジット協会

 

実感としてわかる論文はこちら

CiNii Articles -  2-B-8 支払い延滞解消のためのクレジットカードデータ分析(マーケティング(3)・その他)

短 期 間で 延 滞 解消 す る 顧客は 、キ ャ ッ シ ン グや リボ の 利用 が少 な く、平均 利 用 単価 が 1 万 円〜5 万 円 まで な どの 結 果 が導 か れ た 。 

 まさに、うっかり支払いを遅延したのである。

 

こんな支払い遅延データもある 

ci.nii.ac.jp

リボ 払い の 支払方法 を利用 す る こ と に よ り,毎 月の 支 払 額 を一定 させ る こ とが で きるた め , 顧 客 は ,本来 の 支 払 能 力 を超 え た高 額 商品の 購 人 や 借 入 れ が 手 軽に で きて しま い , 結 果 と して 支払 で きな く な っ て し ま う ケ ース が 多 い と思 わ れ る 

使いすぎには 気を付けたいものである。